のび太と鉄人兵団 小説版 ドラえもん

藤子・F・不二雄 原作
瀬名秀明 著
小学館
2011年2月25日 発売

あらすじ
のび太が、北極で偶然巨大ロボットの脚部のパーツを発見し、自宅に持ち帰ります。その後、次々と異空間から巨大ロボットのパーツが出現し、のび太の家の庭に集まってきました。

のび太とドラえもんは、これらを組み立てようとするのですが、のび太の家の庭は狭いので、「逆世界入り込みオイル」を使って、鏡面世界へ行き、そこで組み立てることに。そして、無事完成させるのですが、このロボットの操縦中に、あるボタンを押すと、ミサイルが飛び出し、ビルを破壊してしまいます。恐ろしい破壊力を目の当たりにした彼らは、鏡面世界だけの秘密にすることを誓います。

その後、のび太の前にリルルと名乗る謎の少女が現れます。のび太はうっかり巨大ロボットのことを、彼女に話してしまいます。彼女は、その巨大ロボットが自分のものだと主張し、のび太も渋々彼女に返すことに。

しかし、彼女は地球を侵略しに来た異星人で、その先兵だったのです。鏡面世界で前線基地を建造を始めます。それを知ったのび太たちは、やがてくる本隊・鉄人兵団を迎え撃つため、立ち上がります。

感想
映画「ドラえもん のび太と鉄人兵団」を瀬名秀明さんが小説化したのが、本作です。声優陣が入れ替わった新シリーズの映画「ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~」の公開にあわせて、執筆されたそうです。瀬名秀明さんというと、「パラサイト・イヴ」が有名です。

自身もドラえもんが大好きということで、かなりマニアックな小説になってますw本編には関わってきませんが、あちこちにかつての漫画や映画で起こったことを、体験談的に挿入されています。知っている人が読むと、ニヤッとするようなネタですね。

そんなことからも分かるように、すごく愛のこもった作品だな、と思いました。

一方、筆者がSF作家ですので、SFとしての側面も色濃く出ています。

例えば、鏡面世界は、現実世界を鏡で映した裏側の世界なのですが、全てを裏返すとまずいんじゃないかと言及しています。人間の見た目で左右反転するのは問題ないのですが、分子レベルになると、鏡面異性体が存在するので、単純に裏返すと、同じ物質にならないんじゃないか、っていう心配です。未来の世界じゃそれくらいのこと考慮してるよ、と笑い飛ばしてますけど、よくよく考えるとこういう問題もありますわなw

ということで、大人が読んでも十分楽しめるし、むしろ子供向けではないような気もします。

ドラえもんでは珍しいノベライズですし、一読の価値は十分あると思います。

作成者: きたけん

神戸出身&在住。大学では環境を学び、今はまちづくりに携わる。思い立ったらすぐに飛び出してしまう。